成長期の子供が順調に大きくなるために必要な3大要素、 「睡眠」「運動」「食事」 。
ここでは、「睡眠」にスポットを当てて考えてみましょう。
成長ホルモンと睡眠の関係
昔から「寝る子は育つ」と言われているとおり、成長と睡眠には密接な関わりがあります。
「身長と成長期」でも説明した通り、「身長が伸びる=骨が伸びる」のは骨端線付近に存在する骨芽細胞の働きによるものです。
この骨芽細胞の働きを促す成長ホルモンは眠っている間に最も多く分泌されるので、きちんと睡眠をとることは子供の成長にとって重要な意味を持っています。
しかし統計的に見ると、日本人は欧米に比べて平均的な睡眠時間は短め。
日本人の平均身長が世界的に見て低い理由のひとつに、この睡眠時間の短さがあるのではないかと言われています。
睡眠は単に体を休めるだけではなく、成長期の体にとって大きな役割を持っているので、質の良い睡眠をしっかり確保することが特に大切です。
成長を促す「睡眠の質」
睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と、それより深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類があります。
レム睡眠の時間帯に夢を見るのは有名な話ですが、これは「記憶を整理する」というレム睡眠の働きによるもの。前日に学習したことを整理して理解や記憶につなげたり、運動中のイメージを整理することが上達に結びつくなど、成長期の子供にはとても大切なのです。
そして、体の成長に関してより重要とされるのが、成長ホルモンが分泌される時間帯の「ノンレム睡眠」です。
レム睡眠に比べて深い眠りの「ノンレム睡眠」ですが、実はその深さにも段階があります。
その中でも、眠り始めから3時間くらいの間に訪れる最も深い眠りの第4段階の時に、多くの成長ホルモンが分泌されます。
言いかえれば、この時間に眠りが浅いと成長ホルモンが十分に分泌されないということに。
眠りの深い睡眠をとれているかどうかは、成長のための大きなポイントになります。
睡眠の「時間」だけではなく眠りの「質」にも注意し、ぐっすりと深く眠ることが、成長のためには不可欠と言えます。
睡眠の「質」を上げるには?
成長ホルモンの分泌を促し、成長のために欠かせない「ノンレム睡眠」。
ぐっすりと深く眠るためのポイントは、自立神経の働きを理解してリラックスした状態をつくることです。
緊張を感じている時に働く交感神経と、リラックスしている時に働く副交感神経。私たちが普段意識しなくても呼吸や体温調節ができているのは、それらをコントロールしている自律神経の働きによるものです。
本来、昼間の活動時に必要な交感神経が夜に働くと、体は疲れているのに目が冴えて眠れなかったり、眠りが浅くて十分に休めなかったりということが起こります。
副交感神経の働きを促し、心身をリラックスさせることが質の良い睡眠へとつながります。
具体的には、
(1)寝る前に脳に刺激を与えない
・寝る直前にテレビやスマホなどの画面を見ない
・夕方の遅い時間や夜に運動をしない
(2)寝る前に血糖値を上げない
・夕食やおやつは寝る2時間前までに
(3)寝る前に1度体温を上げる(上がった体温が下がって行く時に副交換神経が働きます)
・寝る1時間前くらいに入浴する
・シャワーだけで済ませず湯船にゆっくり浸かる
他にも、昼寝は30分以内に済ませる、細切れに寝ない、ベッドは寝る時にだけ使用することでベッドに入ると自動的に眠くなるように習慣付けることなども、安眠のためには有効です。
これらは大人にとっても大切ですが、特に成長期のお子様がいる家庭では、ぐっすり眠ってしっかり成長できるよう周囲も手助けしてあげたいものですね。