毎日すくすく育っていく子供たちの姿は、それを見守る大人まで元気にしてくれる存在。
しかし、ふと同年代の子と見比べて「うちの子は背が低いかも」そんなふうに感じることありませんか?
ここでは、「成長期」とは何歳頃なのか、どのくらいの身長であれば標準の範囲内といえるのか、そして順調な成長のために何が必要なのかを解説します。
子供の平均身長と標準範囲とは?
下記の表は平成27年度の年齡別の平均身長です。
身長の標準範囲は、この平均身長に対して+2SD~-2SDの幅とされ、約95.5%の子供の身長は、この間に入ります。(SDとは「Standard Deviation(標準偏差)」の略で、「(身長-平均身長)÷標準偏差値」で割り出すことができます)
上記グラフの標準下限より低い場合は、低身長を疑ってみる必要があるかもしれません。
また、身長そのものは標準の範囲内であっても、1年間の身長の伸びが悪いと感じた時も要注意です。
もうひとつの目安として、1年間で伸びた身長が、同年齡の子供の平均と比べてどうかという基準もあります。
平均的な身長の伸びの80%以下(より厳密には年間成長率平均値の-1.5SD以下)の状態が2年以上続く場合も気になります。
一度、成長の記録をダウンロードし印刷して、お子様の成長グラフを描いてみましょう。身長の成長度合いをひと目で見ることができます。
【成長の記録 印刷用ダウンロード】
伸長と成長期はいつですか?
生まれたばかりの新生児の身長は50cmほど。そこから急激に伸びて、1年後には70~80cmにまで成長し、4歳になる頃には新生児期の2倍近くにまで身長が伸びていきます。この時期は、「第一次成長期」と呼ばれています。
この時期を過ぎると成長のスピードはゆるやかになりますが、それでも年間平均で5~6cmくらい、コンスタントに伸びていきます。
そして再び身長が急激に伸び出すのが、「第二次成長期」と呼ばれる思春期の時期です。
この時期は「第二次性徴期」とも呼ばれ、体だけではなく運動神経や自律神経などの神経系の器官も完成形に近づき、メンタルも含めて子供から大人の体へと変化していきます。
第一次成長期以降で最も身長が伸びるこの時期は、同時に成長の最終段階。
成長のラストスパートというべきこの時期が終わると骨の成長が止まり、身長はほとんど伸びなくなります。
成長のラストスパートとは?
「第二次成長期」の始まる時期と終わる時期、その期間には個人差があります。
別名を「第二次性徴期」と呼ばれるように、大人の体への変化が見え始めたらスタートのサイン。
一般的に女子の方が先で、早くて7歳7カ月頃、平均で10歳頃から始まります。
一方の男子は早くて9歳、平均で11歳6カ月頃がスタートの時期となります。
思春期が後期に入る頃、女子なら初潮を迎えたり、男子なら声変わりが始まるなどのわかりやすい徴候が現れます。
男女共に17~8歳までに終わるのが一般的ですが、遅い場合20歳を過ぎても続く人もいます。
この期間が身長の伸びるラストスパート。最終的な身長を決める大切な時期と言えるでしょう。
「骨端線」が閉じると身長が止まる理由
成長期の子供の骨をレントゲンで撮影すると、関節付近に「骨端線」と呼ばれる線があるのが見えます。
この線は骨の両端部分にある骨端と骨幹との境目部分にあたり、成長期の子供にしか確認できません。
この骨端線部分にある組織は「骨端軟骨」と呼ばれる軟骨組織で形成されています。骨端では、新しい骨をつくる骨芽細胞と、古い骨を分解・吸収する破骨細胞がさかんに働いています。
成長期には骨芽細胞の働きが活発化するため、この骨端軟骨組織が増殖しながら栄養素を取り込んで硬い骨へと置き換わっていきます。これにより、骨は骨端線に沿って伸びていきます。
成長期が終わりに近づくにつれ軟骨層は少なくなり、やがてすべての軟骨層が硬い骨へと換わると、骨端線はほとんど見えなくなります。この段階で骨の伸びが止まり、身長も伸びなくなります。
ですから、レントゲンで骨端線が確認できるかどうかが、成長期を知る分かりやすい目安とも言えます。